海軍3式1号電波探信儀3型
Navy Model 3 Mark 1 Type 3 Radar


13号電探

本機材は陸上、艦艇使用の小型可搬式対空警戒レーダーである。軽便で使い勝手がよかった為、艦艇使用では海防艦や潜水艦等小型艦艇に至る殆ど全ての艦船に装備された。


有効距離:編隊100Km、単機50Km
周波数:150MHz帯
送信尖頭出力:10KW
測定方法:最大感度方式
測距精度:2-3Km、測角精度:10゜
機器概要
送信機:発振T-311 x2(PP)、変調用パルス整形RH-4、増幅T-307、変調T-307
受信機:スーパーヘテロダイン方式(11球)、高周波2段(UN-954 x2)、混合(UN-954)、
局発(UN-955)、中間周波5段(RH-2 x5)、検波(RH-2)、低周波増幅(RH-2)
指示機: Aスコープ方式
電源:単相110/220V交流電源
空中線:送受兼用、半波長水平2列4段(陸上設置型)


送信機
Transmitter

送信部は三極管T-311プツシュプルによる自励発振方式であ。送信周波数は工場の出荷時に145-155MHzの一波に調整されている。変調は指示機よりの同期信号を基にRH-4の微分回路でパルス波形を発生、T-307にて整形・増幅、次段のT-307にて 発振管をパルス変調する。電源部は発振管T-311供給電圧7,000V、T-307供給電圧-1,200V他を発生、高圧は二極管K-250で、他はセレンにて整流する。

左送信機、上段送信部、下段電源部、右受信機、送信機には電源投入スイッチ以外操作箇所がない。

送信部、上段発振部、発振はT-311プッシュプル、下段変調部、装着真空管はRH-4及びT-307二本。

ヒータに通電した発振管T-311、オレンジの光が鮮やか。

電源部、真空管は高圧用整流管K-250

中央が陽極電圧7,000V発生用トランス

受信機
Receiver


左受信機、右受信機用電源

本受信機は高周波二段、中間周波増幅5段のスパーヘテロダイン方式で、145-155MHzを可変受信出来る。構成は高周波増幅UN-954二本、周波数混合UN-954、局部発振UN-955、中間周波増幅RH-2五本、検波RH-2、低周波増幅RH-2。


受信機周波数表


受信機内部、パネル前面右より空中線入力同調、周波数混合部同調、局部発振回路同調、出力調整、受話器端子。内部前列がフロントエンド部、後列が中間周波増幅、検波、信号増幅部。


受信機電源内部、真空管は整流管KX-5Z3、定電圧放電管VRA65/80、VRB135/60。

受信機フロントエンド部、右より高周波増幅1段UN-954、高周波増幅2段UN-954、周波数混合UN-954、局部発振UN-955。

指示機
Scope

本13号電探の波形表示はAスコープ方式で、目標物までの距離をブラウン管の直交座標上の横軸に、反射波の強度を縦軸に表示する。この電探は指示機内部に同期信号発生器及び指示機測距用マーカー信号発生器を内蔵している。
摘要:指示機所蔵無し

指示機概略図


13号電探指示機(Aスコープ方式)目標捕捉画像概念図
横軸下向きの波形は測距用マーカーで一目盛が20km、130km付近にある幅広の反射波は捕捉した航空機の大編隊、75km付近は小編隊、横軸上の帯は雑音。
(イラスト出典:HP海軍レーダー徒然草)

指示機用ブラウン管BG-75A

予備品収容箱
Spar Parts Box


予備品箱

予備品箱は二段重ねで送信機、受信機、電源の各種予備品が多数収容されている。蓋の筆書きは「仮称三式一号電波探信儀三型補用品箱」。


検電棒、ネオン管を使用し給電線の定在波を測定する。長さ28cmエボナイト製。

予備品箱内部

 


空中線
Antenna

本電探用空中線は送受兼用、半波長水平2列4段、反射器付きである。陸上用空中線は人力により回転させ、艦艇用空中線は手動又は電動にて回転させる。
艦艇用の場合給電線と空中線は回転部分で高周波トランスにより結合されている。
潜水艦装備の13号電探には電動回転式の三素子二段の八木型空中線が使用された。

13号電探用空中線及び給電線、反射器は含まれていない

昭和18年千葉県太東実験場に設置された13号電探陸上用空中線


401潜水艦艦橋に設置された13号電探用3エレメント二段の八木型空中線、上段空中線のエレメントが一本欠けている。
13号用八木型空中線の右が2号2型マイクロ波電探用電磁ホーン型空中線、その右、斜めに設置されているのがVHFレーダー波探知機(通称逆探)のE-27受信機用ラケット型空中線