海軍零式艦上戦闘機無線機材WWII Japanese Navy Zero Fighter Radio Equipments (late type)
・3式空1号無線電話機 ・1式空3号無線帰投方位測定機 ・操縦者用飛行装備
・Model 3 "Ku" Mark 1 Radio Telephon Set ・Model 1 "Ku" Mark 3 Radio Direction Finding Set ・Navy Flying Equipments
本機材は3座以下の航空機搭載用無線方向探知機である。米国のFarchild社製の無線方向探知機を国産化したもので、当初装備された輸入機材はクルシー式空3号無線帰投方位測定機と呼称されていた。大戦を通し、零戦、99艦爆、97艦攻、彩雲、天山等局地戦用航空機を除く殆ど全ての機体に装備された。
受信周波数:長波170-460KHz,中波450-1,200KHz 受信機構成:スーパーヘテロダイン方式(13球) 電源:直流変圧器(入力12V) 空中線:枠型(ループ)回転式及び固定式(方位決定用)
開戦当初海軍の主力戦闘機零戦21型に搭載されていた無線機材は、通信機は96式空1号無線電話機(対地通達距離100Km)であり、零式の戦闘機に比し一次制定代古く、方向探知機は米国Farchild社製のクルシー式空3号無線帰投方位測定機であった。
昭和18年になると無線機材の整備も進み3式空1号無線電話機(対機通達距離185Km)が導入され、機能・操作性も大幅に改善された。又帰投装置もクルシー式の国産型である1式空3号無線帰投方位測定機の導入が進み、国産機材による実用的な戦闘機用無線兵装が出来上がった。
しかし実際の運用にあっては、無線機材の搭載を前提とした機体製造、発動機の整備、無線機材の艤装等に十分な配慮がなされず、機体ボンディング不良、発動機点火系シールド不良、緩衝不良等による雑音の発生で、その性能を十分に発揮出来ないことが多かった。
「本間中尉最後の空戦」
昭和20年8月15日0540、海軍茂原基地第252航空隊所属、戦闘第304空飛行隊本間中尉は零戦52型にて出撃した。高度6,000mで南東より進入の米第三艦隊艦載機群と接触、乱戦の中敵艦爆に命中弾を与え黒煙を吹かせ、一機撃墜を報告する。しかし全弾射撃後の退避飛行中右舷下部より英軍戦闘機の攻撃を受け被弾、猛火に顔面を焼かれつつも落下傘にて脱出、辛くも生還した。 後日の調査で本間機を撃墜したのは、第三艦隊にただ一隻加わっていた英空母Indefatigableの艦載戦闘機Seafireであったことが判明した。
なお、本間中尉最後の空戦については「八月十五日の空」(文藝春秋)他で詳しく紹介されている。